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琉球ガラスの作り方

沖縄を訪れると、一度は手に取りたくなるのが琉球ガラスです。光を受けてやわらかくきらめき、気泡や色の揺らぎが一点ごとに異なる。その表情に、思わず見入ってしまった経験を持つ方も多いかもしれません。

琉球ガラスの魅力は、鮮やかな色彩だけにあるのではありません。厚みのある質感、口当たりのやさしさ、手仕事ならではのわずかなゆらぎ。その一つひとつは、職人がガラスと向き合いながら、繊細な工程を積み重ねることで生まれます。

琉球ガラスの作り方を、体験工房でも見られる基本工程に沿ってわかりやすく紹介します。あわせて、型吹きと宙吹きの違いや、琉球ガラスならではの魅力についても解説します。

琉球ガラスの作り方を知ると、器の見え方が変わる

琉球ガラスは、沖縄の自然や暮らし、そして戦後の再生ガラス文化を背景に育ってきた工芸です。かつては廃瓶を再利用して作られてきた歴史があり、その名残は今も、厚みや気泡、ゆらぎといった独特の表情に息づいています。

完成したグラスや鉢だけを見ると、涼やかで軽やかな印象がありますが、実際の制作現場は高温の炉と緊張感に包まれています。ガラスは、ほんのわずかな温度差や時間の遅れで表情を変えてしまう素材です。

1. 下玉づくり

琉球ガラス作りは、炉の中で溶けたガラスを吹き竿に巻き取るところから始まります。この最初に取るガラスが「下玉」です。

一見すると単純な工程に見えますが、ここは仕上がりを左右する大切な出発点です。下玉の大きさや形に偏りがあると、その後に膨らませたとき厚みが 不均一になり、色の見え方や全体のバランスにも影響が出ます。

職人は、竿を回しながらガラスの重みとやわらかさを見極め、できるだけ均一な状態に整えていきます。

2. ガラスを巻いて大きさを整える|作品に必要な量を育てる

下玉だけでは、グラスや鉢を作るにはまだ小さいため、再び炉に入れて必要な量のガラスを巻き足していきます。こうして少しずつ厚みと大きさを整えながら、器としての土台を作っていきます。

この工程では、「スキ」と呼ばれる透明ガラスを重ねることがあります。色ガラスの上に透明の層をかけることで、発色がやわらぎ、奥行きのある表情が生まれます。琉球ガラス特有のやさしい色のにじみや、光を含んだような透明感は、こうした重なりの中から生まれています。

3. 型吹き・宙吹きで形をつくる

十分な大きさになったら、ここから成形に入ります。琉球ガラスの作り方には、大きく分けて型吹きと宙吹きの二つがあります。

型吹き

型吹きは、型の中にガラスを入れ、吹き竿から息を吹き込んで形を作る方法です。一定の形に整えやすく、体験工房でもよく採用されています。グラスの輪郭が比較的安定しやすく、初心者でも完成形をイメージしやすい技法です。

宙吹き

宙吹きは、型を使わず、空中で回転させながら道具と息で形を整える方法です。職人の感覚がより強く反映されるため、一点ごとの個性が出やすく、自然な曲線が魅力になります。

同じ琉球ガラスでも、型吹きには整った端正さがあり、宙吹きにはのびやかな表情があります。どちらにも手仕事の美しさがありますが、仕上がりの印象は大きく変わります。

4. くびれをつくる|吹き竿から切り離す準備

器の形が見えてきたら、次は吹き竿から切り離すための準備に入ります。ここで行うのが、「ハシ」と呼ばれる道具でくびれを入れる作業です。

ガラスがまだ十分にやわらかいうちに、切り離す位置へ細い筋をつけておくことで、後の工程で無理なく分離できるようになります。

5. 底を整える|器としての安定感を生む工程

器として使いやすくするためには、見た目の美しさだけでなく、置いたときの安定感も欠かせません。そのため、この段階で底の形を丁寧に整えていきます。

グラスの底面がわずかに不安定なだけでも、日常使いでは気になってしまうものです。職人は、ガラスのやわらかさが残るうちに底のバランスを見ながら整え、中心を少しだけ凹ませることで接地面を安定させます。

6. 切り離し|ポンテ竿をつけて持ち替える

次に、吹き竿とは反対側、つまり底になる部分へポンテ竿を接着し、器を持ち替えます。これによって、これまで竿が付いていた口元側の仕上げができるようになります。

7. 口を整える|使い心地を左右する仕上げ

切り離された口元は、そのままではまだ粗く、不均一です。そこで成形窯で再びあぶり、やわらかくしたうえで、「テッポウ」などの道具を使って口部を整えていきます。

縁がほんの少し開いているだけで、軽やかな印象になることもあれば、きゅっと締まっていることで静かな緊張感が生まれることもあります。琉球ガラスの表情は、この口元の仕上げに大きく表情が変わります。

8. ポンテ跡を処理する|底面まで美しく整える

口元が整ったら、今度は器を支えていたポンテ竿を外します。すると底面には「ポンテ跡」と呼ばれる小さな痕が残ります。

この跡をそのままにせず、バーナーなどであぶりながら丁寧になじませていくのが仕上げの工程です。
見えにくいところまできちんと整えることで、器としての完成度が上がります。

9. 除冷炉でゆっくり冷ます|割れを防ぐための大切な時間

成形を終えた琉球ガラスは、最後に除冷炉(じょれいろ)へ入れて、ゆっくり冷却します。ガラスは急激な温度変化に弱く、冷まし方が適切でないと、見た目にはわからなくても内部にひずみが残り、後に割れや欠けの原因になることがあります。

そのため、成形直後の高温状態から時間をかけて徐々に温度を下げ、安定した状態へ導いていきます。

琉球ガラスの作り方ならではの魅力

琉球ガラスの作り方には、工業製品にはない魅力があります。高温の素材を相手にしながら、その日の気温やガラスの状態を読み、道具の当て方や息の入れ方を細やかに変えていく。そこには、決まった作業の繰り返しではなく、素材と対話するような仕事があります。

とくに琉球ガラスは、再生ガラス由来の素材の不均一性を魅力として受け継がれてきました。均一であることだけを目指さず、少しの個性やゆらぎを意匠として受けとめる感覚が、この工芸にはあります。

そのため、同じ工程をたどって作られていても、まったく同じものは二つとありません。そこに、手仕事の器を選ぶ喜びがあります。

まとめ|琉球ガラスは、工程を知るほど美しさが深まる

琉球ガラスの作り方は、下玉づくりから始まり、ガラスを巻き、吹いて形を作り、切り離し、口元や底を整え、最後にゆっくり冷ますという流れで進みます。一つひとつの工程は決して派手ではありませんが、その積み重ねが、琉球ガラスならではのやわらかな光、ぬくもりのある厚み、使い心地のよさを生み出しています。